たこふみ

アマデウス ディレクターズ・カットのたこふみのレビュー・感想・評価

4.8
自分がこの映画を初めてみたのは、映画の公開から2年後、1986年10月の日曜洋画劇場(淀川長治解説)だった。あれから40年近く経ったが、今見ても色褪せない名作。
それまでクラシックのことはまったく知らなかった私は、この映画を見て初めてクラシックを(というより、モーツァルトのことを)いいと思った。特にエンドロールで流れるピアノ協奏曲第20番は、今もお気に入りの一曲。
サリエリを演じたF・マーリー・エイブラハムは素晴らしいの一言。モーツァルトの才能に激しい嫉妬を感じつつ、彼の音楽の真の理解者であったサリエリ。下品で傲慢なモーツァルトを軽蔑しつつ、彼が生み出す作品を神の恩寵として崇めるという、複雑でアンビバレントな役を、エイブラハムは見事演じ切った。この役でオスカーを獲得したエイブラハムの一世一代の名演は必見。
モーツァルトを演じたトム・ハルスもよかった。彼の狂気を表したシーン(「魔笛」の序曲に合わせながら踊るところ)は、この映画のハイライトの一つ。
最後に、コンスタンツィを演じたエリザベス・ベリッジという女優さん、残念ながらこの作品以外に目立った活躍はないようである。しかしこの作品の彼女は、夫モーツァルトに献身的な愛を捧げる妻として、とてもいい演技を見せてくれている。
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