たてぃ

アウシュビッツ行 最終列車 ヒトラー第三帝国ホロコーストのたてぃのレビュー・感想・評価

4.3
ホロコースト作品はアウシュビッツでの出来事を描いた作品が多いですが、この作品はベルリンからアウシュビッツへ到着するまでの「列車の中での出来事」がメインという異色の作品でした。

最後までホロコーストを逃れていたブルジョア層のユダヤ人がゲシュタポによって捕まり(このシーンもかなり極悪…)、アウシュビッツ行きの貨物列車にすし詰め状態で乗せられる…しかも各車両には‘たった1杯分のバケツの水'しか与えられない(食料はない)…トイレなんかもちろんなくて空のバケツ1杯が置いてあるだけ…こんな過酷な状況の中での人間の心理状態が変わっていく姿も描かれてます。

車内だけでなく、途中で停車する駅での出来事も描かれており…

・ウクライナSSの蛮行っぷりが本当に酷かったし怖かった…車両にいたユダヤ人を無作為に選び彼らを紋首台に運び殺したり、酒に酔ってマシンガンを車両にぶっ放つわ、まさにやりたい放題…
・ドイツ国防軍の兵士達が水や食料を車内にいるユダヤ人に与えたシーン(ドイツ軍と言っても全員悪ではない)。ユダヤ人を運ぶ列車には親衛隊SSがいるんですが、国防軍の兵士が彼に向かって「戦争終わったらおまえらは終わりだぞ」と叫んだシーンは胸が熱くなりました…(SSの隊員は「何言ってんだこいつ?」みたいな顔してましたが)


別の作品でSSの大尉が「アウシュビッツに運ぶ間に列車内にいるユダヤ人の4~5%は死ぬ」のセリフを思い出しましたが、ホロコーストはアウシュビッツに到着する前から始まってると知らしめる作品でした。
たてぃ

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