NANCY

ツォツィのNANCYのレビュー・感想・評価

ツォツィ(2005年製作の映画)
4.0
スラム街で生きる「不良」ツォツィ。
感情をどこかに置いて行ってしまったかのように非人道的なツォツィがある日赤ん坊の乗った車を盗んでしまう…
というのがあらすじ。
尺の短さにしては多くのメッセー性を感じた。
ツォツィが赤ん坊を放置せず、連れ帰ったのは、自分のようにさせない為なのであろう。
少しずつ出るツォツィの過去がそれを物語っている。
今作はセリフが極端に少ない。
それにストーリーも決してひねりがあるとは言えない。
この映画はまさに「表情の映画」だと感じた。
最初に写るツォツィの表情と、赤ん坊を拾ってから時折見せる心から優しそうな目がとても印象的。
ツォツィのあの優しい目に感動しました。
赤ん坊を拾ったばかりの頃のシーンは目をつぶりたくなるようなシーンがありますが、最後まできっちりと、みっちりと詰まった映画でした。
ツォツィの口数が極端に少ないのは、彼の歩んできた人生を表しているのかもしれないし、あえて口数を減らす事によって、ツォツィの表情の演技の素晴らしさに注目を向ける手法だったのかもしれない。
同じ尺の映画でもこの映画の5倍はセリフを入れられたはず。
しかしその少ないセリフの中から、スラム街の現状、人々の表情、雰囲気やその場の空気感なんかを上手く映し出していた。
ラストシーンは、もっと押し付けがましくしても良かったと思うが、現実的に考えると、まぁそうなるか…といった感じ。
最後の最後までツォツィの表情にやられる映画。
思っていたよりは満足!
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