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若い貴族たち 13階段のマキのfallenleavesのレビュー・感想・評価

若い貴族たち 13階段のマキ(1975年製作の映画)
3.5
志穂美悦子演じる「13階段のマキ」は魅力的なキャラクターでひたすら美しく、その「キレ」以外の何物でもない鋭すぎるアクションはコンテンポラリー・ダンスの一種のようです。この映画において志穂美悦子の唯一の弱点は主題歌で披露されるその歌唱力ぐらいなものでしょうか。つくりかたによっては「女囚さそり」のようにシリーズ化も見込めたと思うのですが、なぜかエログロ路線の陰惨なばかりの作品になってしまいました。志穂美悦子 meets エログロというミスマッチすぎる取り合わせですが、それがこの映画の味でもあるのは否定できません。
いつも「13」と書かれた服を着ているマキ。そのグループ「野良猫」の仲間は名和宏を組長とする暴力団大門組と繋がりのある社長令嬢との因縁から、拉致され、ヤク漬けにされ、客を取らされます。一方、マキは罠にはめられ、少年鑑別所に入れられてしまいました。囚人番号も13です。ナンバーの便宜をはかってもらえるものなのでしょうか。仲間を助け、大門に復讐すべく、襲いかかる芹明香(マキの首を長い髪で絞めようとしたら投げられ頭皮剥がれ、その失敗を咎められて耳を切り落とされるというあんまりな役柄)などを撃破し、脱走して助けに行く、というストーリーです。マキの武器が身一つ or ヌンチャクなので、悪役がなぜかハジキを使いません。みんな素手で襲いかかってくるか、刃物で斬りかかってきます。これが気になっちゃうとシチュエーションが謎すぎてちょっと笑ってしまいます。南条弘二演じる元ボクサーがマキを援護射撃しますが、この人も手を剣山で潰されるなど散々です。名和宏が大門組長を演じていますが、口髭を生やし、葉巻をふかすドン・コルレオーネばりの出立ちで登場してきて笑ってしまいました。名和宏の壮絶な最期もハイライトです。たっぷりと時間をかけて死に向かう名和宏。この映画は数ある「名和宏ありがとう映画」の一本でもありました。それほど名和宏に救われている作品だと思います。
沢田研二の大ヒット曲「追憶」が挿入歌的に使われているのも目を惹きました。曲が流れ、「オー、ニーナ」というサビが歌われ、レコードのジャケットのジュリーが映った直後に「ニーナ・マサオカ」と名乗る、ジャケットのジュリーと同じような格好をした胡散臭い男が現れる小ネタもおもしろかったです。
随所でPOVが取り入れられたカメラワークも意外と凝っていて注目に値します。こういったアクションものではカメラがいかに俊敏に、効果的に動いてくれるか、が「強そう」かどうかの決め手になってきたりもしますので。
千葉真一御大も出てきましたが、写真と回想シーンでちょこっと、本当に特別出演という感じでした。
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