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若い貴族たち 13階段のマキの一のレビュー・感想・評価

若い貴族たち 13階段のマキ(1975年製作の映画)
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最高。OP、フロントに「13」とプリントされたビックリするほどダサいコスチュームに身を包んだ志穂美悦子が本人歌唱の主題歌をバックに登場。これまたビックリな歌唱力で力が抜けそうになるが、いきなり炸裂する目潰し攻撃で、アイドル映画であっても抑えきれない東映エログロの血が流れる。その後も悦っちゃんの仲間のズベ公たちはメリーゴーランドに裸で縛り付けにされ(ここでジェットコースターのレールの上に立って登場する大原美佐がかなりツボ)、その挙句ヤクザに薬漬けにされ(ひとりは舌を噛んで死亡)、女囚・芹明香は耳をちょんぎられ、藤山浩二の目ん玉は飛び出す。そんな魑魅魍魎がうごめく中でも、ただひとり真っ直ぐ輝いている悦っちゃん。明らかに別格な身体能力に惚れ惚れする。ラスボス名和宏を倒すときの悲しげな表情も、ときに頬を伝う涙も美しい(名和宏の死に顔も相当ステキ)。少年院での牢名主との決闘シーンでは、相手の女優さんが悦っちゃんについてこれないのでカット割りでそれをごまかすしかなく、見応えもあまりないままササッと決着。見合う相手がいないことが惜しい。ラストにもしっかり流れる主題歌『13階段のマキ』。梶原一騎によるやさぐれた詞と不安定な歌声のミスマッチに不思議と感慨もひとしお。特に「人はいつかは死んでいく~」のとこがたまんなくイイ。
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