こたつむり

俗物図鑑のこたつむりのレビュー・感想・評価

俗物図鑑(1982年製作の映画)
2.0
♪ SO 平和な日本 「めがねの日本」
  利口な日本「が」つぶされちまった!

いやぁ。これはヒドイ(笑)
筒井康隆先生の原作(疑似イベント物の最高峰)を活かすために、重要な部分を押さえた脚本は苦心の跡が見えるものの…やはり長編を100分以内に収めるのは無理な話。完全に継ぎ接ぎだらけでした。自己補完が重要なのです。

また、主人公を演じた平岡正明さんの棒読み演技も厳しいレベル。本業が文筆家とは言え、本職の俳優さんたちが稀代の名優に思えるほど(実際に名優ですが)。

ただ、鑑賞後に知りましたが自主映画なんですね。内藤誠監督と脚本家の桂千穂さんが奔走して、なんとか製作にこぎ着けたそうです。確かにその熱意は十分に感じましたよ。仕上がりはB級どころかZ級ですけどね。

それを考えると出演者の尊いことよ。
山城新伍さんや安岡力也さんなどは無償で出演されたとか。いやぁ。漢気がありますな。山城新伍さんなんて、吐瀉物を舐めるわ、パンツ姿になるわ…完全にノリノリ。これがプロですなあ。

そして一番ノリノリだったのが大林宣彦監督。
出演時間も長いですし、存在感も抜群。
口紅やマニュキアを塗った女装姿も楽しんでおられました。この“遊び心”が今の日本に欠けている部分ですね。カチカチに固まったら面白くないのです。

それに本作のテーマは現代でも通用する話。
寧ろyoutubeで目立とうとする輩を見るに、現代の方がヒドイ有様だと思います。今からでも遅くはないので、志のある篤志家が投資してリメイクし、世の中に啓蒙したほうが良いですな。

まあ、そんなわけで。
色々と仕上がりは厳しくても一見の価値がある作品。原作未読ならば、まずは一読をオススメします。

というかですね。
これからはAIで代用できない“頭脳”が必要な時代。筒井康隆先生の作品を読むとアタマが柔らかくなりますので、教育ママの皆様方は積極果敢にお子様に与えると良いと思います。うきききき。
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