もか

渚にてのもかのネタバレレビュー・内容・結末

渚にて(1959年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

80点

白黒だし、正直ダラッとして長ったらしいのかなと思ったけど、最後の展開があっと驚かすというか、感動的で、これまでのことが必要だったんだって一気に翻った作品。

死ぬ、とわかっていても、故郷に帰る男たち
死ぬ、とわかっていながらも、愛を育む者たち
死ぬ、とわかって、趣味だけをやり抜く男

死に方も様々。やり切って自殺する者もいれば、
その時を待つべく噛み締めながら生き延びる者たちもいれば、家族で薬を飲んでみんなであっちに向かう者たちもいる。

原発続々と北半球は覆い、
それは南半球にも到達しはじめていた。

残された時間は、あとわずか。
医者も、目を瞑るしかない状況。

自殺用の薬を、配布する看護師。
そして、行列に並ぶ民衆たち。

もう、仕方ないんだ、
地球最後の日を迎えた人類たちの死に様は
慌てる様子もなく、あえていつもの日常の様な雰囲気があった。

ラストカット、
もう家族は死んでるし、そっちに辿り着けるか分からないのに、故郷で死にたい
とアメリカ人は思う。

オーストラリアという間反対に生まれ育った彼女は、彼を見送る。

切ない瞬間だったけど、譲れないラストの送り方がそれぞれにはあるし、みんな同じ境遇下であとは時間が経てば全てが終わってしまう。

本当に寂しいというか、こんなにまで
感動的な話だとは思いもしなかった。
もか

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