明石です

渚にての明石ですのレビュー・感想・評価

渚にて(1959年製作の映画)
3.4
核戦争によって終末がもたらされた灰色の世界で、少しずつ死にゆく人類と、生き残ってしまった潜水艦内の水夫たちの鬱々たる日常を綴ったお話。村上春樹の小説やエッセイにちょくちょく出てくるので長年タイトルだけは知っていた本作をようやく初視聴しました。

愛する者との別れ、ゆっくりとしかし確実に訪れる仲間の死、、ほんの少しの匙加減で、もしかしたら人類に起こり得たかもしれないパラレルワールドを生き残った水夫とその家族という限定された構図で見せてくれる力作。見た後はずっしりと重い感覚があとに残る。

『サイコ』のノーマン・ベイツことアンソニー・パーキンスの腺病質な演技がとても魅力的で、主演のグレゴリー・ペックより存在感あると思う。好きだなあ、この俳優さん。ただストーリーとしてはバリバリの反戦(というより反核?)映画なので、真摯に込められたメッセージから学べるものはあるけど見てる間は長いなあと思ってしまったのが正直な感想です。あと○週間で人類が滅亡する、というifの世界を真剣に我がことと置き換えて見たらより身が入るのかもだけど。

——好きな台詞
「死ぬにも政治力がいるとは思わんかったよ」

「犬が死ぬときは誰もいない場所を好む。人間が死ぬときは、ベッドだろうな」

「自分で自分を抹殺するほど人類が愚かだとはな」
明石です

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