マーくんパパ

渚にてのマーくんパパのレビュー・感想・評価

渚にて(1959年製作の映画)
3.9
浜辺で水に戯れる人たち、パーティで歓談装う人たちと一見長閑な風景だが、実は制作時から5年後1964年の近未来を想定、核戦争で北半球全滅し南半球オーストラリアの一部のみで人類生存しているがここにも汚染の波がやがて押し寄せて来るという恐怖の設定。偵察の為に各地に寄港する原子力潜水艦の艦長G・ペックはもう何処にも人類が生存出来る場所はないことを悟る。抑止力の核が暴走して抑止力で無くなってしまった世界。米ソの緊張対立を背景に未来への警告含めて作られたと思うがそれから半世紀、ロシアのウクライナ侵攻、北朝鮮核ミサイル開発、中国剥き出しの覇権主義と今の方がより核の暴走現実感は増している。何気なく浜辺で家族、恋人と波に戯れているごく普通の日常がどれだけ至福なひとときなのかを思い知らされる。妻子を既に核で亡くしたペック艦長とパーティで知り合ったガードナーとの陽光浴びて浮かび上がるキスシーンの神々しさは名シーン。