バンバンビガロ

渚にてのバンバンビガロのレビュー・感想・評価

渚にて(1959年製作の映画)
3.8
よくある人類の終末を描くような物語では終末に伴うパニックやサスペンスと人間の負の側面が強調されがちがであると思うのだが、この作品は避けられない終末を前にして登場人物の各人がそれぞれの思う最善の在り方で最後の時を過ごすという物語になっており独自の空気感を作り出している。
世界を破滅させてしまうような核戦争を引き起こしてしまう人類の愚かさという人類全体への悲観主義と、終末に直面した人々が冷静さや人間らしさを失わず愛するものと手を取ってそれを受け入れるという人間性への楽観主義が同時に描かれるような不思議なバランス感覚で成立しているところが面白い。
作中に出てくる「まだ時間はある」というスローガンが最後に観客へのメッセージに転用されるラストは、それなりにウィットに富んでいるとは思うが、作品全体があえて言わなかったテーマを口にしてしまっているようでもったいなく感じた。
バンバンビガロ

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