けんたろう

サニーサイドのけんたろうのレビュー・感想・評価

サニーサイド(1919年製作の映画)
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彼んな鼻糞のカスみてえな薄つぺれえ紳士、殺しちまへ!


惚れた女が居た。然し彼女は、都会より来し別の男に惚れてしまうた。何んと哀しき物語り。
敢然と立ち向かはんとするも、無論うまくゆくはずもなし。紳士を真似する其のザマはひどく滑稽で笑ひを禁じえず。嗚呼、無様なる男の悲恋模様よ。酷く哀し。然うして可笑し。哀しくて可笑し。
其のうへ、雇ひ主からは相変はらず酷い待遇で以てこき使はるゝ始末。嗚呼、可笑し。然うして哀し。可笑しくて哀し。
果たして、救ひなんてものは此の世には無し。生活生活。苦しみながら果てろ。然う思うてゐたのも束の間──何んと!

ははは。最高だぜチヤツプリン。一度徹底的に締め付けられた胸が、彼れの喜びと共に解放せられた気分である。