この作品を観たのはヒュー・ジャックマンの最新作を見る前の予習でしたが素晴らしい作品でした。
この作品の原作の事は余りにも有名な作品で知ってはいたが、読んだのは少年の頃のため明確な記憶は残っていない。２０１２年制作のミュージカル版を見る前の予習として鑑賞しました。
２００年前のフランスが舞台になっていて当時の社会を忠実に描いているのではないか？と思います。まだ近代社会に到達していない時代の人々の苦しみ、王権君主から共和制への転換を求める国民。今でいえば微罪にあたるような罪で１９年間も服役した男が保釈の身から逃れて逃亡する。
その途中に教会から銀食器を盗みだすが、警察に捕まった男は司教の許しを得ることで生まれ変わり社会に貢献していく。
しかし、市長までなった男に刑務所時代から知っている警部に追及される事になるが・・・。本当に皆さん周知のストーリーです。
中世からの変換期の社会。パンを一切れ盗んだという今で云えば起訴猶予になるような罪を犯した男が、数十年にわたって苦しむ。国王の圧政に苦しむ国民。発展途上国には現在も存在する社会ではあるが、本当に貧しさに苦しむ姿が痛々しい。
そんな情景を二人の俳優さんが見事に演じていると思います。ジャン・バルジャンのリーアム・ニーソンとジャベール警部のジェフリー・ラッシュ。二人とも当時に生きる人間として必死に生きているのである。そんな二人にこのキャスティングは見事だったと感じます。
但し、多くのレビュアーさんが指摘しているようにラスト・シーンのジャン・バルジャンの笑顔はまずい描き方だったと思います。観終わった後にレビュー一覧をチェックしましたら、同じ印象を受けた方が多いのに納得しました。
