すずき

ダブルタップのすずきのレビュー・感想・評価

ダブルタップ(2000年製作の映画)
3.3
香港の拳銃射撃競技で天才と言われた男、リック。
まだ若いが、選手としては一線を退いていた彼に、刑事のミウが挑戦状を叩きつける。
大会当日、2人の得点は同点で迎えた最終ステージ。
だが、試合の前に自殺志願の男が拳銃乱射事件を起こす。
犯人はミウの知り合いだった為、ミウは彼を撃てなかったが、リックは犯人を射殺する。
リックは彼を殺す瞬間「喜びを感じた」と告白する。
3年後、銃による殺害事件を捜査していたミウ。
被害者に共通するのは、同じ場所に2回撃つ「ダブルタップ」という神業だった…

レスリー・チャンが銃に魅せられた男を演じた、刑事アクション・サスペンス。
彼が演じるリックは、ただの悪人ではなく、人を殺す喜びに目覚めてしまった、怪物になってしまった苦しみを見せる。
その危うい人間性の演技が良かった。

興味深かったのは、拳銃射撃競技(タクティカル・シューティング)の世界。
キアヌ・リーブスが「ジョン・ウィック」撮影前にトレーニングしてたぐらいしか知らなかったが、結構面白そうなスポーツね。
極端にピーキーにカスタムされた競技用拳銃(レースガン)ってのも初めて知ったけど、それも男の子心くすぐるカッコよさ!
詳しくはググって欲しいけど、カッチョいいパーツが付けたり、軽量化の為に肉抜きしたり、ミニ四駆みたいだ。

しかし残念だったのは、その射撃のプロ同士の殺し合いの見せ方。
超絶技巧、みたいな描写はなく、結局普通のアクション映画のような銃撃描写で面白みを感じられない。
リックには鮮やかな射撃殺人技術を見せて欲しかった。

それからリックの恋人の事も気になる。
リックが殺人に魅せられた事を知り、自らも彼と共に地獄へ堕ちる選択をした悲劇のヒロイン。
映画のラストはリックとミウの決着を描いた所で終わり、彼女のその後は描かれない。
面白そうなキャラクターだっただけに残念。