ヴレア

市川崑物語のヴレアのレビュー・感想・評価

市川崑物語(2006年製作の映画)
2.5
岩井俊二が最も影響を受けたという市川崑について語る(但し字幕で)形式。
市川崑の生まれから晩年に至るまでをほぼ写真と字幕のみで振り返っていく内容。
一言で言うと浅い内容。
せっかく映画という媒体を使いながら殆ど動きが無いし説明もないので、なんだか本を読んでいる気になる。
市川崑がディズニーアニメに影響を受け、最初はアニメを作っていたり、最初の監督作品が人形劇だったり、ミッキーマウスが好きだったり、あまり知らなかった事が知れて良かった。また、途中まで殆どの作品で妻が脚本を書いていたというのにも驚かされた。
岩井俊二が相当好きだと思われる「犬神家の一族」についてはその撮影風景など映像も多めに紹介されていたが、もう少し突っ込んだ話を聞きたかったというのが正直な所。
岩井俊二が実際に市川崑と会って色々話を聞いたというくだりがあるのに、その内容について全然詳しく教えてくれないのは意地悪かとさえ思ってしまう。照明について語りあったとあるが、どんな内容だったのかもっと詳しく教えて欲しい。
岩井俊二がただ、犬神家の一族に衝撃を受け、見たこともないフォントのクレジットだったと語るが、その後でただ実際のオープニング映像を見せて終わりというのではあまりにも簡単に過ぎるのではないか?
ただ、犬神家の一族を初めて見た時に2回見ただとか友達と見に行っただとか、そんなただの映画ファンみたいな感想はどうでもよく思えてしまった。
自身も映画監督なのだから、もっとプロの目線でしっかりとその凄さを解説してくれるもんだと思ったのに、肩透かしだった。
また、金田一シリーズを紹介するくだりで尽く犯人のネタバラシをしてるのもどうかと思った。特に酷いのはこれまでの犯人は熟女系と決まっているからこの映画では歴代の熟女犯人役を揃えました!でも犯人は○○でした!いや、それ言っちゃ意味ないじゃん。悪質過ぎないか?

本作はあくまで岩井俊二が市川崑について私見を述べているだけの内容であり、市川崑についてただ知りたいのであればもっと詳しい文献などあるだろうからそちらを読んだ方がいいのではないかと思った。
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