上海十月

市川崑物語の上海十月のレビュー・感想・評価

市川崑物語(2006年製作の映画)
2.8
市川監督と和田夏十の名コンビは、偶然に始まったとは、知らなかった。前半は、市川監督に独白で子供時代から監督になるまでが語られ、後半は、岩井俊二の思い出と感想が、なんと字幕で繋いでいく、ドキュメンタリーにしては、野心作。本人に語らせるよりもこの手法の方が客観的でドキュメントとしておもしろい。岩井俊二が市川監督と共同監督する話や太宰治の話は、最高です。個人的には、「炎上」、「破戒」、「ぼんち」、「犬神家」、「悪魔の手毬唄」、「おはん」が好きですね。もっとマニアックな会話を出して市川作品に迫って欲しいと思いました。過去日本映画監督に迫るドキュメントの名作が何本かありますが、大抵誰もが、不幸であったり、女で刃傷ざたになったりと心の闇がわからないで追求するのが多いのですが、市川監督に限っていえば、あまりに家庭が円満なので、この方法が使用できない事が返って、作品を軽くした印象を受けました。特にラストは、宣伝がきつかったです。
上海十月

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