ポンコツ娘萌え萌え同盟

国定忠治のポンコツ娘萌え萌え同盟のレビュー・感想・評価

国定忠治(1954年製作の映画)
4.1
時代劇なのにハリウッド30年代ギャング映画の影を感じる…。本作の国定忠治は1954年のしかも日本映画なので何そんな狂言言ってるんだ?と思われるかもしれないけど、たしかに私が愛したハリウッド30年代ギャング映画なんですよ。
特にストーリー大方の筋が駆け出しのヤクザの国定忠治の成り上がりから栄枯盛衰、これは『犯罪王リコ』『暗黒街の顔役』の一人のマフィアの男の栄枯盛衰を彷彿する。
時代劇で栄枯盛衰といえば『藪原検校』(演劇)を鑑賞した時にも思ったが、国定忠治はヤクザものなのでそれ以上にぐっと強く感じる。

「銭がなければ首がないのも同じ」と本作のセリフにあるが、最初は百姓として生きヤクザとして渡世を渡る人生を歩んだ国定忠治はある意味このセリフに呪われているんだと思う。
成り上がりから銭も蓄えて親分と化した彼の歩んだ先にあったのは破滅だ。進む内に力で押し通し、暴力に塗られた彼の人生を思うと罪と罰だろう。
完全に悪党と化してデカイ面をしていた国定忠治に対して、追い詰めらた時に化けの皮が剥がれるように泥水の中で怯えていく彼の様は滑稽。だけど辰巳柳太郎の表情の演技が素晴らしい。
安五郎との対比も良かった。

殺陣に関しても百姓出身だった最初の頃は本当にめちゃくちゃな殺陣なのが好印象的だった。刀で切るというよりは、振りまわして叩くといった感じ。叩いてるのは農具の鍬を降っているようなそんな感じに近い。
山での役人vsもはや首の皮一枚の国定忠治と子分の大殺陣も映えるから好き。