ホーガン

ジャーロのホーガンのレビュー・感想・評価

ジャーロ(2009年製作の映画)
2.9
敬愛すべきダリオ・アルジェントの過去作から順番に再鑑賞、レビューしてみようのコーナー。その第15弾。

先日公開された最新作「ダークグラス」のレビューから触発されて続いてきた本コーナーも本作以外にあと残り一作となった。

「ジャーロ」というのは黄色というイタリア語で、このタイトルは本作が「ジャーロ」というイタリア映画のジャンルであることと、犯人捜査の決め手となる「黄色」のダブルミーニングとなっている。

これまでのダリオジャーロとは少し毛色が異なる。犯人も早々に顔出しし、意外な人物でも無い。犯人は、主人公の刑事役を演じていたエイドリアン・ブロディがブサイク顔にメイクをして二役を演じているのだが、そのビジュアルはまるで筋肉の無いランボーであるw まったく怖くない。ストーリーの浅さはこれまでのダリオジャーロと同じだが、殺人者の一人称視点による狩りのような殺しは無く、縛られた女性に対する拷問シーンがほとんどとなり、これはダリオジャーロの中では希少である。これは嫌悪感はあるが怖さには繋がらない。

グロも目新しさは無く、音楽はいつものクラウディオ・シモネッティ(ゴブリン)ではなくて普通。浅いストーリーの普通のサスペンスという感じだ。

唯一ラストはちょっと面白い。仲良くなった刑事とヒロインが仲違い。仲違いの原因はヒロインの妹の死の責任が刑事にあるというものだが、妹は実は生きていたことが分かる、というエンディング。つまり、誤解によって仲違いしたまま終わるエンドはダリオ作品の中でも珍しい。というか、ダリオ作品以外でもあんまりないよね。

「スリープレス」のような原点回帰かと期待すれば、ダリオの牙が全て抜かれた普通以下のサスペンスだったという悲しい作品である。
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