YasujiOshiba

薔薇の貴婦人のYasujiOshibaのレビュー・感想・評価

薔薇の貴婦人(1984年製作の映画)
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ヴェネツィア祭り(11)

思いがけず面白かった。原作は作者不明の5幕もの喜劇『La Venexiana』という。It.wikipediaには1536年という出版年があるのだけど、だとするとクルチザンヌを描いた『娼婦ベロニカ』と同じぐらいの時代設定。

冒頭のドージョ(ヴェネツィア総督)のプロセッションがゆく広場(カンポ)のシーンは、聖ジョヴァンニならびに聖パオロ教会(SS.Giovanni e Paolo)の前。この教会は歴代のドージェの多くが埋葬されているというドメニコ会の大きな教会だけど、それをみごとにカメラに収めたのは、名撮影監督ジュゼッペ・ランチ。

未亡人アンジェラを演じるのはラウラ・アントニエッリ。でも最初に目を引くのは夫のいるヴァレリアだけど、その依代となったモニカ・グエッリトーレの演技が見事。なんと、ストレーレルの舞台で鍛えた女優さんなんだね。いわば、肉体の存在感でスクリーンを圧倒するアントニエッリに、演技のうまさで対抗するグエリトーレ。

ふたりの最後には脱がせるための豪華な衣装のすばらしさもさることながら、全体の雰囲気を軽やかにしているエンニオ・モリコーネの音楽もよい。

さらには、二人の主人の使えるアンジェラ侍女のネーナ/クレリア・ロンディネッラとヴァレリアに使えるオーリア/クリスティーナ・ノーチがよい。ノーチは声優さんで、いろんなアニメの吹き替えとかやってる人なんだね。

えっと、それから外国からやってきたハンサムボーイのジュールズの依代となったのは、ほかならぬショーン・コネリーの息子のジェイソン・コネリー。一晩で二人の美女を相手に、愛を絞り取られてなお元気なこの若者を演じたジェイソンくんは、ぼくより少し年下なんだよな...
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