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ライオン・キングのrensaurusのレビュー・感想・評価

ライオン・キング(1994年製作の映画)
4.0
全ての生き物が調和を保っているという『サークル・オブ・ライフ』のスケールの大きさと普遍性に圧倒されると同時に、主人公シンバの誕生から成熟までを描くことでその一回のサイクルを目の当たりにすることができ、各々が命の輪の中にいるという実感をより強く与えてくれる。

何もかもが輝き、将来への期待で夢が溢れる幼少期。好奇心から危険に足を踏み入れ、父を亡くすという傷を負う思春期。逃避し、友情を育んだ青年期。愛情を知り、使命と責任を背負って父性を発揮する壮年期。おおよその人生の困難を、雄大な自然の中で共に乗り越えて行く感覚が得られ、ミュージカルのエンターテイメント性も伴って、壮大な映画体験となっている。

ヴィランのスカーを見ると、いかにしてしくじるのかがよく分かる。欲の亡者。ハイエナ一種という画一的な手段。信頼を築けない報酬制による連帯。地位ばかり欲しがり、責任を無視。他人を蹴落とす倫理観。自分が良ければ良いという姿勢。嘘と芝居で人を操る。持ち前の頭脳を正しく使えば、ムファサの参謀として尊敬される人物になっていたかもしれない。こだわるべきなのは玉座ではなく、自分の力を発揮できる場所なのではないか。日の当たるプライドランドの陰であるキャラクターとして彼の存在もサークルオブライフの一つの要素であると考えると、必要悪という言葉ば脳裏に浮かぶ。

自然を扱うことで普遍性が群を抜いている傑作。
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