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宵闇せまればのすずすのレビュー・感想・評価

宵闇せまれば(1969年製作の映画)
4.0
実相寺節炸裂の逸品だ!TBSを退社し、制作会社コダイを立ち上げ、ATGで『無常』を撮るまでの間に、京都で制作した短編映画。

大島渚がテレビドラマとして書き、実現しなかった脚本に、演者には「上海バンスキング」の戯曲家・斉藤憐、自由劇場出身で実相寺組の清水綋治に、樋浦勉。

3人の男子大学生が昨日から授業をサボり、博打に耽っている。場所は女友達のアパート。男がムード歌謡「夕闇迫れば」を口ずさむ。女友達は窓の外を眺め、夕闇が迫ると、気分がブルーになる、と云う。
遊び疲れた3人が帰ろうとした時、女はお茶を飲んで帰れと云い、ちゃぶ台にガスコンロを置くが、足がホースに引っ掛かり、ガス漏れとなる。男が誰が一番我慢出来るか競おうと言い出す。金をテーブルに置き、死を賭けて競争がはじまるーー-----

実相寺昭雄監督の十八番・ちゃぶ台を使った、無気力世代の危険なゲーム。一旦、勝負がついた後に、女が打って出る更に危険なゲームが見所。
監督独特の厭世観は60年代末から70年代初頭の若者たちの空気を象徴し、
ここ一番のバイオリンの楽曲、ラストのカットは見事の一言!
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