けーはち

ショック療法のけーはちのレビュー・感想・評価

ショック療法(1972年製作の映画)
3.0
アパレルで成功したアラフォー女(アニー・ジラルド)は、イケメン医師(アラン・ドロン)主催のアンチエイジング施設に逗留。その施設の職員は不法就労者のポルトガル人青年ばかりで、頻繁に貧血で倒れたり気づくと交替しているという、奇妙な現象が──おフランス製の医療系サスペンス・スリラー。

海辺の風光明媚なサナトリウムに当時最先端モダンデザインの家具が洒脱なのは、さすがフランス映画といえる。巧妙でサスペンスフルな展開と思いきや、サナトリウムでの海藻サウナ→全裸水泳といった珍妙な治療法(というかイイ歳したオトナの馬鹿な様子)に焦点は移って緊張が持続しない。文字通り労働者の「生き血を啜る」富裕層を風刺する試みは分かるが、斬新でもウィットに富んでいるともいえない。劇伴はラテン~アフリカ風の打楽器を強調するチャカポコした音楽でお洒落ではあるが陽気すぎ。総じて迷走した珍作という評価だろう。

ところで本作はスキャンダルに巻き込まれたドロンが、それを逆手にとって変な作品に出まくっていた頃の産物で、全裸を惜しげもなく披露しているのはそのためなのだけど、タイトルの「ショック療法」って、そういうことなのか……?