わらじ

堀川中立売(ほりかわ なかたちうり)のわらじのレビュー・感想・評価

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京都の堀川今出川、晴明神社のすぐ近く、かつて陰陽師・安倍晴明が自らの式神を隠していたという一条戻り橋…のその隣。
堀川中立売の堀川第一橋にも、人ならぬ何かが集っている…?
そんな口上から始まる、SF×ファンタジー×陰陽師ムービー。

地球侵略をもくろむ大妖怪・加藤the catwalkドーマンセーマン(以下、加藤(笑))を倒すべく、密かに地球に降り立ったギャラクシー・フォースのリーダーは、阿部さんと名乗り、現代の陰陽師として活動している。
堀川中立売の近くの彼女の家に居候しているヒモ・信介と、ブルーシートハウス業界にリノベーションの風を吹かせているホームレスのカリスマ・ツトム。
2人は阿部さんに無理やり作らされた借金のカタに式神に仕立て上げられる。(ただし、2人はその事に全く気づいていないが…)
この2人が寝ている間に、彼らの魂?分身?は阿部さんの元へ飛ばされ、操られながら京都にはびこる悪をバッタバッタと倒していくのである。

そしてこの2人の式神の話と同時に、過去に殺人を犯した前歴のある男・寺田の物語も語られていく。
→公式HPのストーリー解説を読んでわかったのだが、この寺田の存在が世界(というか京都?)の人間の悪意を呼び寄せ、増幅させてしまっていたらしい。
彼は、まわりが噂することもあり、いつも誰かに撮影されているのではないか?という妄想にとらわれている(実際撮影もされているのだが…)。そして仕事をクビになった後、加藤に声をかけられたことから事態が大きく動き出す…

この2つの物語が、アフタートークのシマフィルム代表・志摩敏樹さんの言葉を借りれば、螺旋のように、大きく絡むことなく、並行して、ぐるぐると進んでいくのだ。

あらすじだけ書いても、「なんじゃそりゃ」であるが本編を観ても「なんじゃこりゃ」となる(笑)映画である。

好き嫌いが大きく分かれるであろう映画なので万人にオススメできるわけではないのだが、私はこういうカオスでオカルトチックな映画が大好きなので、大満足だった。

特に好きだったのは、式神2人が加藤の手下を倒す際に、手下たちの頭からその人間の持つ邪気や悪意のイメージであろう白い物がビューっと飛び出ていく演出だ。
テレビを頭にはめた後、それを引っこ抜くと首だけが残ってそこからもピューっと邪気が噴き出す変わり種もあるのだがこれもまた面白く、見ものだった。

アフタートークで、2010年にしてはかなり最先端のCG技術が駆使されているというお話があったが、たしかに、頭から邪気を抜くシーン以外にも、宇宙?から陰陽師が召喚されるシーンや加藤TVのニュースのシーンなどCG技術がたくさん使われていて、その演出がこの映画のカオスな部分を引き立たせ、面白くしていると思う。

CGが多く使われているということで想像がつくかもしれないが、『堀川中立売』は、かなり現実離れした出来事がどんどん起こる映画だ。だが、たしかに京都という街には、「もしかしたら、今こうしている間にも、妖怪と陰陽師が戦っていたり、橋の下で神様たちが宴を催したり、しているのではないか…?」と思ってしまうような不思議な魅力と深い歴史がある。

私たちの知らないところで、今日も何かが、起こっているのだ…

そう思って京都の街を歩くと、全てがいつもとは違う景色に見えてきて、心がわくわくするのである。

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↑映画チア部のnote投稿用に書いたやつ
https://note.com/moviecheerkyoto
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