ハマジン

ナポレオンのハマジンのレビュー・感想・評価

ナポレオン(1927年製作の映画)
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BFIの332分版ブルーレイで鑑賞。
冒頭の雪合戦シーンから度肝を抜かれる。1927年の時点で手持ちカメラをやっている……絶句。
クライマックスのイタリア遠征進軍当日、フランス軍が一斉に起き上がる超パノラマのロングショットや、これから征服する地にオーバーラップする地球儀とジョセフィーヌの顔、荒鷲の影を追いかけて進む行進など、トリプルエクランの画面に映る何もかもが頭がおかしくなりそうなレベルでガンギマッていて、「国威発揚洗脳映画」という側面においても本気でヤバいシロモノだった。
ナポレオンに秘かな恋心を寄せる料理人の娘ヴィオリーヌが、髪形を真似るために鏡の前で見比べる、ジョセフィーヌの肖像が思いっきし写真(18世紀にあるわけないやろ!)なの、ロメール『アストレとセラドン』のいい加減さをはるかに先取りしてて驚愕。オマージュか?同場面で彼女が部屋の片隅に祀ったナポレオン像の祭壇(!)で1人結婚式を挙げ、人形のシルエットを使って接吻の真似事をするのが何とも哀切なんだけど、そこではトリュフォー『アデルの恋の物語』のことも思い出し。本作が与えた影響の深さを改めて思い知らされる。
主演のアルベール・デュードネ、もはや似てる似てないのレベルを超えて、「ナポレオン」という世界的パブリック・イメージの構築に一役貢献している、という言葉でしか表しようがない。
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