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地に堕ちた愛のギルドのレビュー・感想・評価

地に堕ちた愛(1984年製作の映画)
2.6
【演じていたら現実と幻想の線引きが出来なくなった人々】【ジャック・リベット傑作選2024】
■あらすじ
フランスの名匠ジャック・リベットが、「ジュ・テーム・モワ・ノン・プリュ」のジェーン・バーキンと「愛と哀しみのボレロ」のジェラルディン・チャップリンを主演に迎えて撮りあげた心理ドラマ。
ある戯曲を改作して上演していた女優シャルロットとエミリーは、その戯曲の作者である劇作家クレマンから、彼の屋敷に滞在して新作を演じるよう提案される。
しかし、その新作戯曲はまだ結末が決まっておらず、女性の役もひとつしかない。1週間後の本番に向けて稽古を進めるシャルロットとエミリーだったが、屋敷のいわくありげな住人たちとともに過ごすうちに、劇の内容と現実が次第に交錯していき……。

■みどころ
Not for me.
率直に言ってつまらなかったです…

映画は某フルハウスをめっちゃ気まずくした不倫する女、妻、夫の三つ巴ドラマから始まる。ドラマを撮影→楽屋でグチグチ文句→撮影 …のルーティンを繰り返す。
そんな中で劇作家クレマンから「こんちゃーす!仕事受けて欲しい案件あるよ~」とばりにお誘いを受ける。

そこからクレマンより仕事の話をされ、結末が決まってないし役は2人のどっちかから選ぶわーというライバル設定されシャルロットとエミリーは練習を重ねていく。
やがて新作の練習を重ねていくが…

様々な心理ドラマ、シャルロットがちょいちょい観るもう一人の自分、謎の扉から聞こえる海の音・森の音、特徴的な壁紙…と非現実的な出来事をストレートに伝えつつ、現実と幻想が徐々に溶融していく作品。
…なのだが、これまで鑑賞した『彼女たちの舞台』『パリでかくれんぼ』と比べてスピードが遅く、やり取りの内容も頼んでもない他人の惚気話を2時間以上も聴いてるような気分もあって観るのがしんどかったです。

事実は小説より奇なり、と言うのを体現した映画でもあり、ありえない物語設定をディテールをポリッシュアップすることでつまらない劇をそれっぽいものに仕上げる的な意図はあるのかもしれないが、今回の独特な物語構造はぶっちゃけこじつけの領域のようにも感じた。

特に面白かったのは、役を演じて形勢逆転したエミリーが急にHowToBasic並の凶行を働く姿、新作を魅せた時の観客の気まずそうな顔を前に「これが望まぬ結果だ」とドヤ顔で語る男優さん、新作を観た客に往復ビンタを食らうクレマンだろうか…

それらと奇抜な壁紙デザイン以外に良さを見出せませんでした。
現実と幻想が溶融し演じる人間が徐々におかしくなる映画ならばスタンリー・キューブリック『シャイニング』の方がよほど奇抜かつ面白くやってくれていると思う。
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