しろくま

潮騒のしろくまのレビュー・感想・評価

潮騒(1964年製作の映画)
3.5
2022.10.24/231/GYAO
〝二人が好き合っているなら問題はないやないか。世間がいかんのや。つまらんこと言いふらすよってなあ。夫婦(みょうと)になるまでは、何もせんなんて今どき偉いもんや〟

吉永小百合さんと浜田光夫さんの純愛コンビによる〝潮騒〟の映画化。〝その火を飛び越してこい。飛び越して来たら…〟が有名だが、それを言ったのは男性の方だとすっかり勘違い。吉永さんにしてはちょっと乱暴な台詞。〝あまちゃん〟で、キョンキョンが歌う〝潮騒のメモリー〟の〝来てよ その火を 飛び越えて 〟の方がしっくりくるんだけど…。

村の有力者の娘の初江(吉永小百合)と貧しい家に暮らす漁師の新治(浜田光夫)の恋模様には障害が多く、初江の父からは会うことを反対され、許婚の男とも対立、島民の間にはよからぬ噂話もたち、八方ふさがりに見えたが、海女のおばちゃんたちに励まされ…。最後は、嵐が吹き荒れる中、沖に向かって…。もっと堅い感じの難解な話だと思っていたら、グッと引き込まれるラブストーリー。三島文学のイメージ通りの試練に立ち向かう男らしさの美学。そして〝その火を飛び越してこい〟は、そんな男へのエールに聞こえる。
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