ちゃんゆい

マリー・アントワネットのちゃんゆいのレビュー・感想・評価

マリー・アントワネット(2006年製作の映画)
-
主義や主張の狭間を描く作風なのかもしれない。

14歳で国を離れ、次期王妃となる運命を受け入れざるを得なかったマリーアントワネットの生涯のある時期を描く。
伝記ではなく、脚色もありそうだが、マリー自身の視点に立てば、その行動はやむを得ないかもと思ってしまう。
ただ、どちらの立場にたて、というメッセージはない。ある立場の、想像してた主張が「あれ意外とこうなのかも」と翻され、自分の先入観が揺らぐ。

人間が作り出した階級というものの恐ろしさを感じる。
その内部で生まれてしまえば、その中での常識しか育たないはず。SNSなんて無ければなおさら、自分の生まれた社会を俯瞰するなんて視点はない。

コッポラ監督は、セリフ外で汲み取らせるのが上手い。
引き、定点のカットで役者の動きを見せたり、「今考えたらヘンテコだよね」なしきたりを真っ直ぐ観察するカメラワーク。

慣習は当時のまま、マリーは現代人の見識を持ってる、みたいな微細な違和が、作中にずっと漂っていた。