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マリー・アントワネットのfleurのレビュー・感想・評価

マリー・アントワネット(2006年製作の映画)
5.0
最初のシーン、キルスティンがこちらを見て「なに見てるの?」とでも言うように微笑むところからもうかわいい。マリーのテーマカラーはペールブルー。
オーストリアではふつうのお転婆な末っ子らしいかわいい女の子。かわいいパグのモップスと3人の侍女たちと馬車に揺られて移動する様子はとても楽しそう。だけど国境に着くと「引き渡しの儀」が行われ、パンツからモップスまで何から何まで剥ぎ取られて、故国を捨て未来のフランス王妃となる。
そんな新たな住まいのヴェルサイユは儀礼に規則に縛りの多い場所。朝から大量の人が来て着替えを手伝い、入れ替わり立ち替わりやってくる貴族に見られながらの朝食。寝室まで人の立ち入り自由。貴族や王族たちのステータスのために王太子妃であるマリーのプライベートは亡きものとされる。それに加えて、もりもり朝ごはん食べて狩りに勇んで出かけるのに、マリーには全くと言っていいほど関心を見せないルイ。ルイはナイトキャップまで被って、中学生のお泊まりみたいになってたふたり、可愛かった。
鶴の一声にもなれるけど、その力を自覚していない無邪気なマリー。異国から来た妃だから立場がとても脆く危ういマリー。王宮には真の味方が誰もいない。唯一、メルシー大使と親友のランバル夫人が優しい、味方。子供を作れないことから来る、人々の視線や噂。孤独、悲しみ。そして母からのプレッシャー。
それらすべてが、おしゃれにまつわる浪費に昇華されていく。かわいいドレスに靴、シャンパンにお菓子に船まで乗った髪型。コンバースがちらっと混じってるソフィアの遊び心。もうどのカットもキュ〜トで過呼吸💗🩺
伯爵との出会いでここから私の人生が始まる気がする、と心を躍らせる明け方のマリー。楽しい18歳の誕生日パーティー。まだ18歳されど18歳。みんなで夜更けまで遊んで日の出を見に行く場面、なんて可愛くて美しいシーンなのだろう。朝靄に包まれる美しいヴェルサイユ。パーティーの名残りの可愛らしいかけら。ようやく務めを果たせたマリーのうれしそうな芝生への寝転び、可愛くて大好き。プチトリアノンでの日々も、ソフィアの手にかかるとさらに可愛く夢のよう。もうどの場面もかわいさがありったけ詰め込まれていて、だいすき。
苦しむ国民のマリーの贅沢や浪費に対する怒り、母上マリア・テレジアの死、そして念願の王太子の誕生。悲劇と幸運が交互に押し寄せる晩年の数年間。オペラを観てもかつてのように周りは従ってはくれない。待望だった王太子の早すぎる死。肖像画でそれを伝えるの、良かった。
あの一番の親友ランバル夫人、そしてメルシー伯爵との別れが一番辛かったな。
馬車から眺めるヴェルサイユの最期の朝日。微笑み合う2人、マリーのI’m saying goodbye.
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