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インディアン・サマーのgeneralisticのネタバレレビュー・内容・結末

インディアン・サマー(2001年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

弁護士ソ・ジュナ(パク・シニャン)は、海外研修が決まっているほど将来を嘱望されている弁護士。身なりはスーツにぼろいスニーカー、眼鏡も髪型も田舎っぽく、発達障害をうかがわせるが、正義感が強く、とことんこだわった仕事をするところを事務長(チャン・ヨン)は温かく見守っている。

夫殺しの罪で一審にて死刑宣告を受け、完全に心を閉ざし、黙秘を続ける死刑囚イ・シニョン(イ・ミヨン)。控訴審の初公判で出廷を拒否し、独房に入れられる。弁護士ソ・ジュナは国選弁護を引き受けたが、シニョンは体調を崩し、病院に身柄を移されたところで自殺を図る。

弁護士ジュナは、身籠った胎児を堕胎し、夫を殺し、さらに自殺まで図るという気持ちの動きはあり得ないと感じた。そして、シニョンの生い立ち、結婚生活など様々な情報を集めにかかる。シニョンは幼い頃に両親と死に別れ、結婚後も外科医であった夫に暴行を受け、軟禁されていたのだった。結局具体的証拠が明確でなく、自白と状況証拠のみであったことから、控訴審で推定無罪を勝ち取ることになった。

タイトルのインディアン・サマーとは、晩秋において春や夏の訪れを感じさせるような、いわゆる小春日和に当たる英語である。ジュナが弁護士としてでなく、一人の男性として自分に向き合ってくれることが、これから来る長く辛い冬を控えてのインディアン・サマーと表現されている。改めて生きたいという気持ちジュナに伝えるぐらいにまでシニャンの心の氷は解けていった。控訴審で勝ち取った無罪で結審したなら、シニャンは人生における改めての春を迎えられただろう。

ただ、控訴審でまさかの逆転無罪を告げられた検察側は面目を失ったことで、改めての物証、証人を集めていく。ジュナは検察側が上告したことを知り、状況を悟った。しかし、シニャンの生きたいという気持ちに応えるため、ジュナは法を犯してでもそれを叶えようとする。

シニャンは、自身が置かれた状況を改めて悟った。外科医である夫には苦しめられたが、夫も苦しんでいたし、結局夫を殺したことには違いなく、罪を受ける立場なのだ。そして、ジュナが法を犯して自分に生き続けて欲しいなんて気持ちを受け入れることは、ジュナの社会的立場を著しく傷つけてしまう。シニャンは弁護人からジュナを外し、死刑を受け入れるしかない・・・

パク・シニャンの役どころは大変難しいと思われるが、このような変わり者であれば、こういった一途な恋もあり得るかもと思わせる流れができていた。また、チャン・ヨンが事務長としてパク・シニャンを温かく見守っていることで、違和感が出やすそうなストーリーを上手くまとめている。イ・ミヨンは、影がある女性の役が多い印象だが、それも上手くはまっている。監督のノ・ヒョジョンはデビュー作ということだが、法廷ドラマのシナリオライターだったとのことで、ストーリーと映像は上手くマッチしていると感じた。
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