空海花

ストップ・メイキング・センスの空海花のレビュー・感想・評価

4.3
この前に『アメリカン・ユートピア』を爆音で観て、インターバル20分からの音感上映を鑑賞♬
1本ずつ別日に観ようか迷って(1個ずつ観て2日に分けて浸るもよしか)
幸せを大きく1日にまとめてしまうことにした😆
『アメリカン・ユートピア』でテンション爆上がり!
そのテンションのまま観たら、もうトリップしてしまいそうな心地♡(※)


1983年12月、ハリウッドのパンテージシアターで行われた「トーキング・ヘッズ」のライブ映画。
6台の固定カメラと1台のハンドカメラを駆使して、ストレートにそのステージを描き出す。
また、ソニーのデジタル・サウンドを使い、全てをデジタルで録音した初めての音楽映画となった。
監督 ジョナサン・デミ。
発案はデミがトーキング・ヘッズのライブを観たことによる。
制作費の大半はヘッズが捻出したが、
ロングランの大ヒットで
何よりトーキング・ヘッズ全盛期のライブが極上の映像として収められた傑作。

撮影はジョーダン・クローネンウェズ。
黒く塗りたくった暗めのステージに
デイヴィッド・バーンがラジカセを持って現れて、「サイコキラー」を歌う♪
U-NEXTで何回かBGMでもかけてたので
爆音の興奮でマスク下の口パクが止まらない🎵
ラジカセ懐かしい形😌
ちなみに「サイコキラー」はヒッチコックの『サイコ』からインスピレーションを得たのだとか。
バーンが時々よろけて見せるのはフレッド・アステアの『恋愛準決勝戦』を意識しているらしい。

楽器が運ばれてきて
メンバーが1人ずつ現れる。
ベースのティナ・ウェイマス
ドラム、クリス・フランツ(この2人は夫婦)
ギター、ジェリー・ハリソン。
こうしてスポットを当てていくのは『アメリカン・ユートピア』も継承している。
みんな揃ったら「バーニング・ダウン・ザ・ハウス」!🤩

『アメリカン・ユートピア』と比べて、
コード類はもちろんあるけれど、ムダな要素を排除した、視覚的なチャレンジの感じは本作にもある。
“ストップ・メイキング・センス!(意味づけなんか、やめてしまえ!)”
これはビッグスーツを着て歌う「ガールフレンド・イズ・ベター」の歌詞。
このスーツは日本の能の装束が元になっているそう。主役格が大きな四角い衣装を着る、そのスーツ版。
楽器を運ぶ人たちも黒子のイメージみたい。
クリスがこのツアーの前に日本に行ったと語っていた。
衣装の話は聞いてはいたけれど、みんな個性を出さない地味な衣装と指示しておいて、1人ビッグスーツでビックリ!(笑)
ライブ映像ではあるけれども、アートで断片的なストーリー性。
意味づけから離れたセンスの爆発。
客席はあまり映さないライブへの没入感。
でも映った時にはみんなノリノリ🤩
混じりたい…
比べてしまえば『アメリカン・ユートピア』は洗練されていて、曲のアレンジも今っぽくて万人受けしやすくなっているけれど
これは懐かしいぶん、尖りまくりなので
あまり知らない人は、よりアーティスティックでファンクな当時の雰囲気を楽しむつもりで観ると良いかも。

バーンはぐるぐる走り回ったり、寝っ転がったり、メガネをかけたり、小道具を使ったり色々やってます。
トム・トム・クラブもある。ティナかわいい♡

タイトル・デザインはパブロ・フェロ。手書きの黒い文字が白い画面上に打ち込まれているのは、キューブリックの『博士の異常な愛情』で使われたデザイン文字の変型判だそう。

『アメリカン・ユートピア』にはジョナサン・デミへのリスペクトを感じるし
クレジットにもスペシャルサンクスとしてジョナサン・デミの名前がある。

バーンは今はあんないい感じに角が取れてイケオジになっちゃうのだから…
もうこれは生命の神秘だ!🤣
変化と吸収は恐れてはいけない。
永遠に続けることは可能。


2021レビュー#147
2021鑑賞No.315/劇場鑑賞#51


※実際にトリップはしていません(笑)
ただ、この日の多幸感はハンパなかった。。
空海花

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