BOB

バージニア・ウルフなんかこわくないのBOBのレビュー・感想・評価

3.7
『卒業』のマイク・ニコルズ監督のデビュー作。

大学教授のジョージと学長の娘マーサ。中年夫婦の一晩の口喧嘩に、客人である新任の教授夫妻が巻き込まれる。

"You're all flops. I am the Earth Mother, and you are all flops."

酔っぱらいのおっさんとおばさんによって繰り広げられる壮絶な暴露&罵り合いゲーム。どこからが事実でどこからが嘘か。夢と現実の区別がつかない罵詈雑言に2時間以上も付き合わされるのは気分が悪い。ストレスが溜まるし、疲れる。

しかし、話の全容が明らかになり、夫婦の歩んできた歴史を想うと、悲しく切なくなった。そして、夫婦の間に揺るがない愛があったことに気づく。

エリザベス・テイラーの迫真の演技に圧倒される。世界三大美女の一人『クレオパトラ』を3年前に演じていたとは思えないほど、狂気を感じさせる図太く嫌味な"ババア"を演じている。

カメラワークや構図がとても興味深い。誰と誰をフレームに入れ、どう配置するか。人物同士の距離感、カメラとの距離感、角度。

脚本家についてはあまり注目してこなかったが、アーネスト・レーマンさんが手掛けた作品は名作揃い。『麗しのサブリナ』『北北西に進路を取れ』『ウエストサイドストーリー』『サウンド・オブ・ミュージック』凄い!

戯曲を映画化している点や、ほぼ屋内で展開される欲望剥き出しの会話劇という点で、『熱いトタン屋根の猫』や『欲望という名の電車』に似ている。名作たる理由が分かったとしても、自分にとってはどうしても好きになれないタイプの作品たち。

"Who did the painting?"
"Some Greek with a moustache that Martha attacked one night."

"I hope that was an empty bottle, George! You can't afford to waste good liquor, not on YOUR salary!"

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