たいすく

トップをねらえ! 劇場版のたいすくのレビュー・感想・評価

トップをねらえ! 劇場版(2006年製作の映画)
4.5
◎「偏見」というものが自分の視野を狭くしている事実に愕然としたい夜に、オススメの一本。
 
ぶっちゃけ、「観たら終わり」だと思っていたんですよ。トップをねらえ。主人公たちのコスチュームは実に狙っているし、キャラクターデザインは媚びているし、この作品が好きという人は重度のオタクばかりだし。しかも、勧めてくる割には、どうオススメなのかを絶対に言わないの。「ぐふぐふ。面白いから観てみろって」しか言わないの。だから、どうせ軽薄な80年代のアニメ文化の悪いところを全部持ってきてその上澄み液をすくったような作品なんだろうなぁ…と、ずっと思っていました。ええ。で、劇場版が公開されるっていうんで、貞本さんキャラデザの『2劇場版』目的でこの『1劇場版』も観たのですが、結論、バカはオレでした。偏見というものが、いかに本質を見誤らせるのかという事実を、これでもか!と突き付けられた作品。60~70年代を生きたSFマニアたちが作った日本製SF傑作が、『トップをねらえ!』だったのです。
 
本作は、
かわいい女の子たちが
オッパイを揺らしながら
ロボットに乗って
宇宙怪獣と戦うお話です。
 
しかし、上記の説明で「イメージしたモノ」を、徹底的に裏切ってくれます。女の子も、オッパイも、ロボットも、カツ丼に載っている三つ葉みたいなもので、本作の魅力のほんの一部。まだ、メインの具にもたどり着いていないのです。

作品の面白さは、かけ算みたいなもの。本作は、既存アニメファンのフックになる要素を多分に含みながら、本格SFのあらゆる要素をかけ合わせ、若き才能たちをさらにかけ合わせることで、80年代の日本でしか作れない新しいSF作品を作り上げました。おそるべき岡田斗司夫!さすがは、5歳にして親に幼稚園にもう一年言っても無駄だと発言し、大学にも行かず自分の家でSF小説ばかりを読みふけり、ダイコンフィルムを企画し、自分の奥さんの名前を作品の重要キャラクターにつけるだけのことはあります。そして本作、くやしいけど最後は泣けます。なんてこった!
 
いつの時代も偏見にさらされるオタク。そんなオタクも本気になればスゲェものが作れるぞ。そんなメッセージを感じさせる作品です。
 
 
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