Maoryu002

三人の妻への手紙のMaoryu002のレビュー・感想・評価

三人の妻への手紙(1949年製作の映画)
3.7
ある郊外の町に暮らす3組の夫婦の妻たち、デボラ(ジーン・クレイン)、リタ(アン・サザーン)、ローラ・メイ(リンダ・ダーネル)は、ある土曜日に遊覧船で出かけた際に、共通の友人アディから “ご主人の一人と駆け落ちします” という手紙を受け取る。3人は平静を装いつつ、夫と自分の関係を振り返り始める。

「幽霊と未亡人」「イヴの総て」のジョーゼフ・L・マンキーウィッツ監督による、ブラックコメディにして夫婦愛の物語。

誰かの夫が、自分の友人と駆け落ちなんて物騒な出だしだが、夫たちはなかなかいい奴ばかりで、何より妻を愛しているところが面白い。
一方の妻たちは、自信がなく閉じこもったり、仕事優先で夫を見ていなかったり、愛情表現が足りていなかったりと、思うところが大いにある。そして、共通してアディに劣等感を持っているのだ。

映画には登場しないアディという虚像を使って、3組の夫婦関係を動かしていく脚本はお見事!
それぞれが真剣に自分の行動を振り返り、当たり前の日常、夫の存在のありがたさに気付いていく。
サスペンスとロマンス、コメディのバランスの良さも素晴らしい。

リタの夫役、カーク・ダグラスが若い!
そして、いつも一癖も二癖もあるけど、絶対に憎めないセルマ・リッターが存在感抜群だ。特に列車が走ると揺れまくるローラ・メイの家でのやり取りが笑えた。
Maoryu002

Maoryu002