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ソウ5のnetfilmsのレビュー・感想・評価

ソウ5(2008年製作の映画)
3.6
 鎖に繋がれたセス・バクスター(ジョリス・ジャースキー)の目覚め、絶叫した男はモニター画面でジグソウ / ジョン・クレイマー(トビン・ベル)の言葉を聞く。殺人罪で終身刑だったはずが、5年で出所(有り得ない 笑)した男は振り子殺人の餌食となる。倉庫の中に作られた病室の手術台の上には、ジグソウの遺体が置かれていた。遺体は喉が切られ、手にはテープを握っている。FBI捜査官ストラム(スコット・パターソン)は銃を手に、事件の解決をしようと部屋の中に入るが突然入口のドアが閉まり、照明が消える。ストラムは暗闇の中、病室に隠し扉があるのを見つける。その中には、小さなテープレコーダーが吊るされていた。再生すると、ストラムを挑発するジグソウからのメッセージが入っていた。奥の部屋で暴漢に襲われたストラムの顔は四角い箱の中にあった。上部の2つの筒から水が湧き出し、絶体絶命のストラムは左ポケットからナイフを取り出し、自身の首に突き刺すことで辛くも一命を取り留める。ジグソウの元妻ジル・タック(ベッツィ・ラッセル)は弁護士に呼び出され、法律事務所を訪れていた。ジグソウの遺言のビデオテープと、遺品の入った木箱。首にかけた鍵で木箱を開けたジルは中を覗き、驚愕する。一方その頃、警察署ではジグソウ殺人集結の記者会見が開かれていた。たった1人生き残ったマーク・ホフマン刑事(コスタス・マンディロア)は英雄と称され、警部補へと昇格を果たす。

 大ヒットを続ける『SAW』シリーズの5作目。前2作で死期が近づいたジョン・クレイマーの後釜を選ぶ物語を基盤に置きながらも、前作で無残にも殺されてしまったアリソン・ケリー捜査官(ディナ・メイヤー)の意志を継ぐ者として、FBI捜査官ストラムの執念深い捜査が徐々に容疑者を追い詰める。身体に重傷を負った刑事が捜査から外されたことにより、独自に調査を開始する様子は極めて良質な猟奇サスペンスの型を踏襲するが、シリーズがシリーズなだけに、到底ハッピー・エンドでは終わるはずもない。密室のコンクリートの床の上で目覚めた、アシュリー(ローラ・ゴードン)、ルバ(ミーガン・グッド)、ブリット(ジュリー・ベンツ)、チャールズ(カルロ・ロタ)、マリック(グレッグ・ブリック)の姿。壁にはV字型の大きな刃がセットされ、5人につけられた首輪はケーブルでその刃に繋がれていた。そして、新しいゲームの始まりが告げられる。それと共にジョン・クレイマーの安眠出来るようになる更生法とやらは復讐心に導かれた男の猜疑心を煽り、自らの後継者へと引き摺り込む。殺人と厚生の違いを切々と語るジグソウの言葉、それとは対照的に悲劇のゲームのターゲットとなった5人の行方、ストラム捜査官とダン・エリクソン(マーク・ロルストン)の双方向からの操作を主軸にしながら、1人ずつ篩にかけられる一行は5ℓの血を賭ける。心底虚しいラスト・ミニッツ・レスキュー、珍しくどんでん返しのない物語はシリーズ史上唯一、「ゲーム・オーバー」の言葉もないままクライマックスを迎える。
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