青山

地上最大のショウの青山のレビュー・感想・評価

地上最大のショウ(1952年製作の映画)
3.7

サーカスの団長ブラッドは、空中ブランコの大スターセバスチャンを年間巡業に迎える。ブラッドの恋人で空中ブランコ乗りのホリーは、中央ステージを奪われたことに不満を持ち、セバスチャンに張り合おうとする。


サーカス団の中の三角関係をストーリーの軸にしつつ、興行の様子をドキュメンタリーのように見せるサーカス映画。

まずサーカスというもの自体がガッツリ描かれていて単純に凄かった。
動物たちもこの時代CGなわけもなく本物で、空中ブランコのシーンとかも凄かったし(高所恐怖症なので金玉がなくなりそうになった)、エレクトリカルパレードも何じゃそりゃという感じで面白かった(ニセミッキーやべえ。ディズニーに消されないのかこれ?)。
そして、作中の合間合間でナレーションによるサーカスの解説があり、街から街への移動の場面とかテントを張る場面とかの舞台裏も見せてくれるので、楽しい夢のステージの陰に大勢の人の仕事があるんだなと感慨深くなり、よりサーカス団への愛着が湧いてしまう仕掛け。
そのサーカスのシーンが結構長くて、家で見てるとやや冗長な気もしてしまうんだけど、これ当時映画館で見てたらすごい楽しかっただろうな、と。
あと、『フェイブルマンズ』に出てきた激突シーンも凄かった。

そんなサーカスドキュメント的な側面も3割くらいありつつ、ドラマとしてはベタな三角関係モノで、粋なジョークが連発される洒脱な恋のバトルにニヤニヤしながら見てしまいます。
ベタなので展開はなんとなく読めちゃうものの、あの人がああなったり、激突の後のクライマックスのエモさだったりとお話としての見どころもめちゃくちゃあって、面白かったです。
また、その辺のメインストーリーの影で、ジェームズ・スチュアートが全編ピエロメイクで誰だか分からん感じで演じる訳アリの道化師の物語がむしろメインストーリーを食ってるくらい印象的で、この話があるからただの能天気な三角関係恋の鞘当て映画に止まらない余韻が残って素敵なんすよね。

という感じで、まぁちょっと長すぎる気はするけどとても面白い作品でした。アカデミー賞取ったことを「なんでこれが」と揶揄されてるようですが、こういう純粋に楽しいだけの娯楽作が賞取ってもええやんか!と思います。
青山

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