よーだ育休中

ハリー・ポッターと秘密の部屋のよーだ育休中のレビュー・感想・評価

4.0
いじわるな伯母一家の下で新学期を心待ちにしていたHarry Potter(Daniel Radcliffe)の前に《屋敷しもべ妖精》が現れる。『ホグワーツには恐ろしい罠が仕掛けられている。』という彼の警告と妨害を掻い潜って魔法界へと帰り着いたHarryだったが、新学期を迎えたホグワーツでマグル出身の生徒たちが次々と襲われる事件が発生する。

The Chamber of Secrets has been opened
enemies of the heir... beware


◆ What exactly is the function of a rubber duck?

魔法に触れる驚きと感動が描かれた前作でしたが、二年目の魔法界も新鮮な驚きに満ちていました。空飛ぶ車に乗ってたどり着いた《隠れ穴》では魔法使いの暮らしぶりが描かれており、『(一部の風変わりな)魔法使いが持っていた人間に対する疑問』も投げかけられています。『ゴムのアヒルはどんな機能を持っているんだ?』これは完全にウケ狙い。まんまとやられました。


︎︎︎︎︎︎☑︎ 奴隷の様な姿の《屋敷しもべ妖精》
☑︎ コーンウォール地方の《ピクシー》
︎︎︎︎︎︎☑︎ スリザリンの怪物《バジリスク》
︎︎︎︎︎︎☑︎ ダンブルドアの《不死鳥》フォークス

新たな幻の動物たちが登場したのも嬉しかったですし、彼らの多くが今後の物語に大なり小なり絡んでくる一発屋にならない点も大変に好ましいです。

決闘クラブで披露された《武装解除の呪文(エクスペリアームズ)》や、Hermione Grenger(Emma Watson)主導で作り上げた《ポリジュース薬》なども今作限りではなく後続作品の随所で多く用いられます。

煙突飛行粉(フルーパウダー)でHarryが間違えて飛ばされてしまった《夜の闇横丁》の《ボージン・アンド・バークス》の品々などコミカルさを交えて描かれていた魔法のシーンの数々が、シリーズを通して後に伏線として回収されることとなる二作目。本作単品でも勿論素敵なのですが、壮大なハリポタワールドの中でも今後重要になるシーンが数多く描かれているのも、改めて見返すと楽しいポイントでした。


◆ Her skeleton will lie in the chamber forever.

グリフィンドールの仲良し三人組が、学校の怪談のようなホグワーツに隠された秘密を調べていく中で、恐ろしい闇の魔法使い《名前を言ってはいけないあの人》が復活しようとする陰謀を突き止め、これを阻止する。

大まかなプロットは前作と変わりません。ですが、二番煎じ感は不思議と感じませんでした。それはスタートからゴールに至る過程で登場する『魔法』の数々が新鮮なものであったから。本作の生みの親J.K.Rowling氏の持つ豊かな想像力と、彼女の描いた世界観をフィルムに落とし込んだCris Columbus監督の手腕の賜物であると思っています。

本作では『生徒が殺された』過去と、主要キャストの一人が襲われたこと。そしてBonnie Wright演じるGinny Weasleyが《秘密の部屋》に囚われてしまったことで、前作よりも(あくまでも児童文学作品レベルで)ダークな色が強くなっていました。

学校の地下に潜んでいた凶悪なモンスターと一対一で戦う少年Harryという構図は致命的で絶望的なものでしたが、絶対的な保護者(Dumbledore)からの助け舟(フォークスと組み分け帽子)によって事なきを得ます。この強引にでもハッピーエンドに持っていく予定調和に児童文学作品らしさを感じましたが、それも今作までと考えると少し寂しい気もします。


◆ It is not our abilities that show what we truly are.
ー It is our choice.

これもまた前作同様、Dumbledore校長先生(Richard Harris)の御言葉がラストを飾ります。

『真に何者であるかは《能力》ではなく
何を《選択》するかによって示される。』

『何が出来るか?』ではなく『何を選ぶか?』ということこそが大事だと説かれています。このメッセージは、自身のアイデンティティに葛藤するHarry(を通して、思春期の子供達)へ送られていました。

︎︎︎︎︎︎☑︎ 自由を求める屋敷しもべ妖精のDobby
︎︎︎︎︎︎☑︎『Pure Blood(純血)』血統至上主義
︎︎︎︎︎︎☑︎『Mud Blood(汚れた血)』差別的発言
︎︎︎︎︎︎☑︎ 見栄を張っているだけのLockhart教授
☑︎ 自身の混血に葛藤する若きTom Riddle

改めて振り返ってみると、今作は全編を通して《自身の出自:abilities》に対する各キャラクターの選択や持っている価値観が描かれていた様に思います。

スペロテープ(どう見てもセロハンテープw)で補修した折れた杖にも関わらず、友達のために(個人的に最凶の呪文だと思ってる)ナメクジの呪いをかけようとしたRon Weasley(Rupert Grint)の勇気ある選択こそ、「Weasley家だから」ではなくRon個人の持つ資質によってグリフィンドール寮に選ばれた所以を示したと感じ、かなりお気に入りのシーンです。(『反吐が出るよ。』までの流れを含めて)


今作でChris Columbusは監督の座を退きます。そして、2002年10月25日にご逝去されたRichard Harrisにとって、今作が最後の長編映画への出演となりました。アズカバンから帰った森番に贈られたホグワーツの大広間に響き渡る万雷の拍手は、シリーズへ大きな功績を残した両名への餞のようにも感じられました。シリーズ作品を通して、個人的に最も印象的に残っているラストシーンです。


*雑記*
さーきとよーだのハリポタマラソン。
無事に二年目を終えることができました!
懐かしき「グゴッゲゲゲゲェェェェ」大喜利のナメクジ逆噴射をSakIちゃんと同時鑑賞できて大満足ですw