春とヒコーキ土岡哲朗

ハリー・ポッターと秘密の部屋の春とヒコーキ土岡哲朗のレビュー・感想・評価

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ロックハートの重要性。

ロックハートという、比較対象であり賑やかし。小さいころはドビーが印象強かったが、ドビーの出番は3回だけ。一方、ロックハートが、賑やかしキャラの割にずっと出てくることに気が付いた。彼はハリーの比較対象だ。
ダンブルドアはハリーに、自分が何者かは血ではなく選択で決まるのだと教える。ロックハートは、それの歪んだ実行者である。自分の行動ではなく人の実績を横取りすることで、自分が何者かを示すのが彼の本性。でも、それは彼の人間性でもなんでもない。何でも手に入れようとするのでなく、自分を持ちなさいというそこからの心構えも示している。それがないやつが、最後には自分が誰だか分からなくて「私は誰?」という本を出す、象徴的な結末もついている。

シリーズ初の続編、という立ち位置。
『賢者の石』とだいぶ同じ流れだなとは思った。学校内で事件が起きて、犯人は誰なのか謎に包まれながら、賢者の石 or 秘密の部屋を探して、見つけたときに犯人と思惑が分かる。同じだけど、主人公3人がここまではまだ幼いので、学校内の探検が多い児童文学っぽさがちょうどいい。次回作へのフリでここで「アズカバン監獄」の名前を登場させている。もちろん原作ありきだが、映画を一本ごとに分けて制作しているのに、地続きのテレビドラマのような振り方をしている。テレビドラマよりも先行きが未確定な製作状態でそれをしているのもすごいし、当時は一本一本区切られて見えたが見返すとこんなにつながっているのかと驚いた。