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素晴らしき日曜日のtntnのレビュー・感想・評価

素晴らしき日曜日(1947年製作の映画)
3.9
東京に暮らす恋人達の日常を描くって、昨今の邦画の一大潮流と同じコンセプトにも関わらず、今作とそれらの作品が決定的に違う点は、その社会性にある。とにかく貧困が二人の生活を苦しめ、二人の関係すらも蝕んでいく様が描かれる。あと、突然現れる浮浪者の少年のシーンの生々しさは凄い。戦後を実際に経験した製作陣にしか出せないリアリティがある。
昭和の東京を見るのが個人的に好きなので、その意味では予想以上のセット撮影が多くて若干肩透かしだったけど、時折見られるゲリラ撮影がやはり良い。有楽町駅のガード下を走るところとか、上野公園の階段を降りるところとか、カメラに驚く一般人も写っていて面白い。
今作のインスピレーション元にグリフィスの映画があるらしいが、黒澤明の演出って、確かにとてもアメリカ映画的、言い換えれば超オーソドックス。丁寧にカット割ってる印象で、長回しとか変な省略とかはほとんどない。
ラストの仕掛けは、映画館で見たらどうなるんだろうか。
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