アーリー

素晴らしき日曜日のアーリーのレビュー・感想・評価

素晴らしき日曜日(1947年製作の映画)
3.4
2023.10.23

戦後間も無い日本を生きるカップルの物語。
実際にその年代に撮られてることもあり、ドキュメンタリーとして観ることも出来る。

とにかくお金がない。二人合わせて35円。家が10万円で買える感じやったから、今の感覚で言うと大体100倍ぐらいの金額かな。3500円。この中でやりくりしてなんとか日曜日を楽しもうとする。けど行く先々でトラブルがあり、タイトルに反して全然素晴らしくない。お金がないということでどんどん惨めになっていく男。それを励まし、楽しい雰囲気に持っていこうとする女。お金じゃないわ幸せって、というのは大体女の方やなぁ。男はお金を持っている=男としての価値が高いという方程式を持ってしまっているから、そこで2人の間にズレが生じる。実際お金がある方がいいし、女だってお金がある男といたらちゃんと楽しむし、そっちの方が本当はいいはず。お金がある人たちとつるむことが出来ない地位、状況にいるから、お金がない男と付き合い、お金なんてなくても幸せとか言っちゃう。お金がある地位に生まれていたらどうせお前はわがままの限りを尽くしていい服、いい装飾品を身につけて、お金のない男を馬鹿にするんやろうな。逆もまた然りなんやろうけど。冒頭の「俺だって男だよ」のセリフに男の苦悩が集約されてる。

戦後を生きるのはどんな感覚やったんやろう。普通に焼け野原がまだ残ってるような時代。街では子供達がストリート野球してて、それは良いなって思ったけど、カップルの2人にいいこと全然起きひんから楽しい雰囲気では全くない。今でいう転売ヤーみたいなのがグループでいたり、昔の旧友の店に尋ねると乞食と見做されたり。戦後でも裕福な人はいたのはいたんやな。

第4の壁を超えてくるシーンが突然くる。私たちのような貧しい恋人たちのために拍手をしてください。流石にそれはやりすぎ。お遊戯会じゃないんやから。直接求めるんじゃなくて、そういう展開にして自然と拍手をさせるぐらいの感じじゃないと。ドキュメンタリーチックとはいえ、醒めてしまったな。

少し退屈気味ではあったけど、戦後を生きる恋人というお話としては見応えあった。期待していたようなお金ないけどそれなりに楽しむ軽快な感じがなかったのが残念。
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