NONAME

ブコウスキー:オールドパンクのNONAMEのレビュー・感想・評価

2.9
チャールズ・ブコウスキーなんて ただの酔っ払いのクソ親父だと思っていた。でもこの映画を見て それはどうも違うんじゃないか ブコウスキーはかっこいいじゃないかと思った。どうかっこいいのかと言うと 全てに対してアンチ/拒絶と言い続けている姿勢がかっこいい。普通そんなことを24時間していたら 本当にただの嫌味なクソ親父なのだが ブコウスキーは24時間アナーキーでい続けながらもクールに周りを飽きさせず楽しませている。
初めてシティ・ライツ主催の朗読会に行く話をブコウスキーがアングラ新聞に書く。その記事で彼は同行していた映像作家のことを鈍臭いクズ野郎だとボロカスに書く。 腹が立った映像作家は「ボロカスに書いてくれてありがとうよ。でも俺たちがクソ野郎じゃなく あんたがクソ野郎だという証拠の映像は俺達が持ってるぜ」と言うと ブコウスキーは「文章では俺がヒーローだ。俺の好きなように書く。映画はあんたのものだ。好きなように作ればいい」。かっこいいじゃないかブコウスキー。これこそ作家じゃないかい。U2のボノもブコウスキーのブコウスキーの凄さをよくわかっているんだよな。

この映画のいいところは初めにブコウスキーが何者かをパッと語り その後から彼の歴史が始まる。初めに「ブコウスキーかっこいい」と言ったが映画を観終わってかっこよかったなというと 微妙かな。何か女々しいし でも言葉はやっぱり凄いなと思った。この映画とかジム・ジャームッシュの映画を見てグッとくるのは 言葉がグッと入ってくるところなんだよな。僕は英語が完全にはわからないんだけど 字幕スーパーに補佐してもらいながら聞いていると 英語が 作者の声がストレートに入ってくる。それが気持ちいい。

ほとんどの評論家がパンクに対して批判的だった30年前 パンクに対して好意的な評論を書いていた数少ない人 ブコウスキーのような生活を実践されている方だが 何か違うんだよな。ブコウスキーはもっと世の中にケッと言っている でも救われたいとどこかで思っているという感じなんだけど 結局原書で読まないと本当の部分に近づけないんじゃないだろうか。日本の映画もそういうところにきているのかもしれませんね。まあ ちょっとした そんな希望が湧く映画だよね。
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