anjo

ブコウスキー:オールドパンクのanjoのネタバレレビュー・内容・結末

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このレビューはネタバレを含みます

暴力的な表現、露骨な性描写、下品な言葉。弱さや醜さ恥なども全て隠さずあられもなく晒け出す。なんたらハラスメントとかコンプライアンスがどうとかが騒がれる今の時代ではなかなか受け入れられがたい、蓋をされるような作風だろうが、彼の詩には温かい人間の血液が通っているように僕には思える。ありのままの精神の解放。誰かが決めた正しさのなかで真っ当である必要はない。そういう風に訴えかけられているような気がして、それがどん底にいる人間や定められたレールを走ることの難しい人間にとっては、ある種の優しさや救いのように感じられるのではないだろうか。
また、専業の作家になる50歳位まで挫折を経験しながらも書くことを辞めなかったところには非常に勇気付けられる。
そんな傍若無人で無頼なイメージの彼だが、酒を「臆病者の血」だと言い、朗読の際には飲まずには壇上にあがれなかったというエピソードなど、彼の知らなかった1面を知れたことにより作品に対する感じ方もまた深みを増したように思う。
彼の墓に刻まれた「DON'T TRY」の文字。奥さんが「やろうとするな」ではなく「やれ」ということが言いたかったのではという解釈も心に響いた。
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