YasujiOshiba

ビートルズ/イエロー・サブマリンのYasujiOshibaのレビュー・感想・評価

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林檎レンタル。23-45。村上春樹の『街とその不確かな壁』を読了してすぐにこれを見る。誕生日のプレゼントの新作だけど、そこに登場するイエローサブマリンのパーカーを着た少年に触発されたわけだ。

この少年はビートルズ 『Nowhere man 』のリフレインを連想させる。だから、お気に入りの潜水艦のパーカーが洗濯されるとき、ジェレミー・ヒラリー・ブーブ博士を着るのだが、おそらくはそれが本性なのだ。少年は「どこにもない場所の博士」その人なのだろう。

He's a real nowhere man
Sitting in his nowhere land
Making all his nowhere plans for nobody

村上春樹は「コロナの時代の愛」について語るが、このアニメもまた「サイケの時代の愛」を語る。爆弾のような GLOVE から G をとって LOVE なんてのは、たんなる言葉遊びではなくて、永遠の疫病から街を守るための不確かな壁なのかもしれない。

そして、アニメとなったビートルズのように、影を失った誰かが、どこでもない国で、誰のためでもないプランを描いている、どこでもない国の不思議な人物と協力しながら、ぼくたちをあの「深い暗闇」を抜けたところにあるはずの、どこかの場所へと誘う。その誘いは、1968年のビートルズのアニメと、奥深いところで共鳴する。
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