イルーナ

ナイトメアー・ビフォア・クリスマスのイルーナのレビュー・感想・評価

4.5
昔々、かなり大昔のこと。君たちが夢で見たような場所だ。
今からお話しするこの出来事は、ホリデーワールドで起こったこと。
ホリデーがどこから来たのか知ってるかな?知らない?
では今からその答えを解き明かそう……

ハロウィンとクリスマス。一粒で二度おいしい作品と言ったらこれ。
カボチャ畑の王ことジャック・スケリントンがクリスマスに憧れを持ったことで、祝日の生まれる世界にて大騒動が繰り広げられる。

ティム・バートンが一番脂の乗っていた時期の作品だけあって、作家性がこれでもかと発揮されたこだわりの一品。今観てもまったく古さを感じさせない。
ハロウィンタウンのダークな町並み、おどろおどろしいけどコミカルな住民たち。
頭に斧が刺さっていたり、全身腐敗してドロドロになっていたりとホラー面で抜かりないキャラデザですが、妙な愛嬌がありますよね。
ジャックもブギーもめっちゃイイ声してるし。ツギハギ人形のサリーは手足を分離させてもその後また縫えば元通りという便利(?)さ。
博士はサリーに何度も毒を盛られててマヌケすぎる(苦笑)
それとゼロかわいいよゼロ。真っ赤なお鼻のトナカイさんは暗い夜を照らしたけど、本作ではゼロがその役目。
ですが倫理観はサリー以外ズレている(苦笑)
ジャックは紳士的かと思っていたら普通にサンディ・クローズ……もといサンタさん拉致を命じてくるし(苦笑)

そんな調子でクリスマスを企画したらどうなるか。今まで相手を怖がらせるのが仕事だったから、当然何が子供に受けるのか分からない。
(実際本作自体も当時、子供向けじゃないという扱いを受けた)
プレゼントが生首だったりおもちゃが攻撃してきたりで楽しいクリスマスが大惨事に。ツリーを飲み込む蛇は可愛かったけど。
これ、周囲との価値観の違いに悩んできたバートンの心情でもあるのかなぁ……
しかし落ち込んでいたのも束の間、頑張ったからいいか!とアッサリ立ち直るジャック。このポジティブシンキングは見習いたい。
そこからあれよあれよという間にサリーとサンタを助けてブギーと一騎打ち!イカサマ師ブギーの正体は……人によってはかなりキツイかもしれない。
サンタさんはすぐ後始末に奔走し、ハロウィンタウンに初めての雪が降る……
この畳みかけるようなクライマックス。「クリスマス前の悪夢」というタイトルですが、まさに夢のように駆け抜けていく結末でした。

そして本作、曲も素晴らしい。
『This is Halloween』で一気に作品世界に引き込まれ、『KIDNAP THE SANDYCLAWS』は一度聴いたら忘れられない……
さらったサンディ・クローズ 閉じ込めて~
真っ暗にして 鍵つけて~♪
イルーナ

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