エソラゴト

コントロールのエソラゴトのレビュー・感想・評価

コントロール(2007年製作の映画)
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―He's lost 'CONTROL'


New Order の前身バンド Joy Division のボーカリスト、 イアン・カーティスは23歳という若さで自らの手で人生の終止符を打った。今作は、彼のその半生を綴った映画である。 監督は写真家・映画監督のアントン・コービン。

1990年代前後、イギリスのマンチェスターを発祥としたロックムーブメント「マッドチェスター」を追った作品『24hour Party People』の前半部分で Joy Division について語られてはいたが、今作は中心人物のボーカリスト、イアン・カーティスの人物像に深く迫った作品となっている。

所謂カリスマロックスターの栄光と挫折という大仰な描写ではなく、ごくごく普通のロック好き青年が家庭や仕事に悩み葛藤するという部分に視点を置いているところが今作の特長とも言える。

主演のサム・ライリーも完璧に本人になりきっていたし、 演技もほぼ初めてとは思えない程の熱演だった。(『ドアーズ』でのバル・キルマー同様に歌声やパフォーマンスがとても良く似ている) 監督のアントン・コービンも長編作品初監督で多少荒削りな部分も見せつつ、 適度に肩の力が抜けていてあまり長さを感じさせないシンプルで手堅い作風に思えた。

自分はNew Orderから聴き始めた所為かJoy Divisionの湿った冷たい音に正直最初は拒絶反応があった。 しかも、バンドの顔であるボーカリストがこれからという時に首吊り自殺してしまったというマイナス要因やネガティブ要素も作用してか、なかなか馴染めずにいた。

残ったNoのメンバーが結成して18年目ではじめてJDのナンバーを演奏するようになって、 自分も少しずつ聴くことができるようになっていった。 最初、私はNoとJDは全く別のバンドという認識だったが、 それからはJDの延長線上にあるバンドがNoだと思うようになった。 (メンバー自身もインタビューで「イアンが生きていたとしても 『ブルー・マンデー』は作っていた」と語っていた)