ポックンポクン

リプリーのポックンポクンのレビュー・感想・評価

リプリー(1999年製作の映画)
3.0
手塚治虫の「奇子」のようだと思った。生き抜いていく方便としての嘘を躊躇わず貫く様は程度の差こそあれ、人間の機能であるとも言える。ただし日本は恥の文化で己をアピールすることに長けていないとするならば、虚飾でも機能するならいいじゃないかという考え方は西洋的マッチョにも見え中国的パチモンにも見える。両者に見えるのは独善的正義でありそれに裏付けられた嘘である。詐欺してでも生き延びろという社会は嫌ではあるが、筋トレはいいことだし、パチモンが本物を超えうることだってある現実もある。アピールしないことはシャイでネガティブであるというのも然り。この映画は生存に関しての倫理観や美学について語られている。大いなるサバイバル。