Siesta

四月物語のSiestaのネタバレレビュー・内容・結末

四月物語(1998年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

非常に記録映画的な印象を受けた まず、平成を切り取ったという意味、その四月を切り取ったという意味、その時期の大学生を切り取ったという意味、そしてあの時の松たか子を切り取ったという意味 時代を記号的に明示するものはほとんど出てこないが、人と空気が切り取られている 松たか子の記録映画という点では、実の家族たちも出てきて送り出されるところや、ジャケにカチンコが映り込んでいるところも示唆的
雨、傘というモチーフ ピクニックではココの黒い傘(この時もその傘は壊れている)を持っていて終盤にかけて雨が降りしきる、後の花とアリスでも雨のシーンで秘密が明らかとなる 今作でも雨、傘は重要なモチーフとして出てくる 傘は壊れているし そう考えると、ピクニックは最初から見えない憂鬱の雨が降っていたのか、なんて思った そして、岩井俊二における雨というのは、雨の暴力が全てを曝け出させるというようなイメージ 今作でも、雨が降って、傘が必要になる 出会いの、再会の理由となる また返しに来る、あぁ素敵な予感がするよ、という爽やかさ
細かい人物描写も印象的 引越し屋さんのちょっと田舎モンの10代を舐めてる感じ、お隣さんとのよそよそしさと予想外の展開、サークルの先輩、興味ないことに引っ張られていくあの感じ、同級生とのなんでここ来たの的な所とか、雑な北海道いじりとか、そこって指されて重なっちゃう感じとか、名前2回聞かれる感じとか、本屋で先輩に気づかれるまでの感じとか 映画内映画も白黒で、彼女の趣味もレコードで、ちょっとレトロな趣味なのかなぁとか
イメージの羅列のような印象で、でもそこから見えてくる彼女の物語というあたりは、めちゃくちゃ岩井俊二だなぁと思う
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