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敵は本能寺にありのデニロのレビュー・感想・評価

敵は本能寺にあり(1960年製作の映画)
3.0
1960年製作公開。脚本池波正太郎。監督大曽根辰保。

織田信長が天下を統一しようと着々と諸国をまとめ上げているその最終盤。物語はともかく、いつも思うのは本作絵の本能寺における信長守備隊や、「赤穂浪士」における吉良邸の守備隊が必死で防戦し主人を守ろうという気概が分からん。わたしは何としても生き延びようと思案を巡らすところなのだが。

主人公は明智光秀。常にその真意を図られる戦国武将で、本作では領地を召し上げられ新しい領地は切り取り次第だと言われたことに反応したことになっている。違うと思うけれど。それにしても信長ですよ。この人ほど裏切りにあったにも関わらず天下に近づいた権力者もないのではないだろうか。それが最後の最後に大炎上となってしまう。

周りにどんな人間を配するかで何ができるのかが分かろうというものだ。信長は人を競わせて成果を上げていったのではないだろうか。企業の人事はそれが主流だ。そうして成功体験を積み重ねたものが生き延びる。光秀の側近斎藤内蔵助。忠義心は厚いのだが進言することがすべからく裏目に出る。それでも屈託なく、ここは引きましょう等と言っている。演じる水島道太郎が可哀そうなくらいで、これは脚本がお粗末です。人の悪い部下を揃えた秀吉に軍配が上がるのは当然とでもいうような感じに仕上げている。池波正太郎は秀吉嫌いとみた。

さて、本作において大曾根辰保監督は本能寺を焼き尽くすことに尽力し痕跡を残した。

それにしても60歳に近い嵐寛寿郎の徳川家康はあるまいと思う。

ラピュタ阿佐ヶ谷 「阪東妻三郎×田村高廣 永遠の親子鷹」 にて
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