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敵は本能寺にありのtackyのレビュー・感想・評価

敵は本能寺にあり(1960年製作の映画)
3.5
「真心を道具として使う者と、真心に命を懸ける者」前者が信長、後者が光秀らしい。

「本能寺の変」は謎に包まれているが、この作品は典型的な王道の「パワハラ」が原因だと描いた物語である。よって、自ずと信長はスーパーヒールである。
しかも、蘭丸も一枚絡めて小悪党にしているのが面白かった。(蘭丸がパワハラの黒幕だったと言う説もある。)光秀が父の幸四郎、蘭丸が息子の吉右衛門と言う絶妙な配役が素晴らしい。

最後の落武者狩りまで、トコトン光秀を悲劇の主人公として描いていて、やはり古い映画だと思ったが、この作品が後々、「パワハラ」が王道の原因だと認定させた作品だと思うと、感慨深い。

「本能寺の変」決行後の、娘婿にまで裏切られ、周りが自分から離れていく光秀の孤独感を上手く描いた脚本は、さすが池波正太郎である。

日本一美しかった坂本城や、日本一雄大だった安土城などのセットも素晴らしく、隠れた名画である。

しかし何故、光秀といい、光成といい、IQ高くて、部下に手厚く、愛妻家の好人物は、天下を取れないのだろう?
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