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敵は本能寺にありのmitakosamaのレビュー・感想・評価

敵は本能寺にあり(1960年製作の映画)
3.3
比較的珍しい印象の、松竹の時代劇。しかもモチーフは明智光秀の側から描いた本能寺の変で、原作は池波正太郎とのこと。

主演の明智光秀は先々代の松本幸四郎。今の幸四郎のお爺ちゃんで初代白鸚やね。2代目白鸚によく似てる。顔がおんなじで製作時期を理解しててもアタマがバグるな。
注目はやはり信長役の田村高廣だ。信長はやはりパンチの強い演技が求められる。その意味では田村の低音ボイスとクセのあるしゃべり方はとてもキャラが立ってて良い。
ぶっちゃけこの田村高廣が居なかったら相当地味な映画になったんじゃないかしら???

あと、家康がアラカンで、秀吉が河津清三郎なんだよな。何故だかこの二人だけ随分と歳上だ。

謎が多く諸説ある本能寺の変だが、今作は信長が家族に対しドライに対応する事に業を煮やしたこととなっている。
明智光秀の丹波攻略の際に光秀の母を人質に出し敵と和平交渉したのに、信長は敵をアッサリ処刑。当然光秀母も殺されちゃう。
あの時代は侍の家族は出世のために犠牲になるのが常なので、信長は全然気にしない。
更に光秀の娘は良縁があったが、蘭丸に差し出せというご無体。
また森蘭丸が、権力を笠にそこそこ態度デカいのがムカつく(笑)この蘭丸が誰かと思ったら吉右衛門だ!これは晩年の印象とだいぶ違ってわからなかったな。

本能寺の変から三日天下で討たれるまでが描かれる。明智目線の映画はあまり無いので、北野武の“首”と比べるとかなり興味深い。
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