敬愛する叔母さんが倒れ、心穏やかでない少女の彷徨、、。

「冒険者たち」が大好きなんで、同じくロベール・アンリコ＋ジョアンナ・シムカスのこの作品は前から観たかったんです^_^

ジョアンナさんは、やっぱり可愛いですね。彼女が叔母さんの病気から逃れるように、夜な夜なパリの街を彷徨い歩くので、そらゃ危ないよな〜とヒヤヒヤしながら観てました^^;

女性がパリの街を彷徨い歩いたり、話が転がっていく様は、ちょっとヌーヴェルバーグっぽい。リヴェットあたりが頭をかすめます。

さらに、両親がスペイン内乱に関係していたり、ゲルニカの絵が出てきたり、スペインが暗示されるけど、深くは分からない^^;

ファンタジーとは違うけど、ちょっと不思議な雰囲気の映画です。「冒険者たち」のようにはハマらなかったのですが、ジョアンナさんを拝めたのでOKです^_^

ジタ伯母さんが昼のサイレンと共に脳卒中で倒れてしまい、寝たきりになってしまう。大学生のアニタは母と一緒に懸命に看病するが、大好きなジタ伯母さんの死期が迫る恐怖に、家に帰るのが怖くなってしまう。一晩中、ボーイフレンドとバスケの試合を見た帰り、おもちゃの車のレースを楽しむ青年や、友人のジェームズ、牧畜業者ボニの羊が逃げ出したり、猫狩りをしてるスペイン人に出会ったり、夜な夜な町を歩き心の準備ができた状態で、家に向かう。

アニタ演じるジョアンナ・シムカスの可憐さ、60年代のファッションに身を包み、立体感のある絵画のような美しい街をたばこを吸いながら練り歩く。ジタ伯母さんが寝ている部屋は彼女のあふれるやさしさと愛を感じられる赤を基調としていて、レトロな花柄の壁紙やランプ、高級感あふれる食器や食卓の彩に目を奪われる。壁には数々の絵画が飾ってあるが、その中でひときわ目を奪われるのが、ジタ伯母さんのスペイン時代に寄り添うようにメインの壁に飾られた、ピカソの「ゲルニカ」である。語られる過去の残虐な描写は黄色のフィルターのかかった映像で回想され、残酷さの中にはかない美しさを見る。

それはアニタの心とも交差していくのだ。
大好きな伯母が死んでしまう恐怖にかられながら、男たちと時間を楽しんでも、伯母のことを払拭することができず、常に頭の片隅にある葛藤が、言葉の節々や表情から読み取ることができ、その言葉にならないイライラ感を彼女と共に共有していく。寄り添うギターの音色がその不穏な心情を語り、幻想的なライトアップが寂しさの渦で包み込む。猫狩りをするスペイン人二人と出会い、また伯母のスペイン時代を重ねるように、彼に心の一部の共存を感じてしまう。
コントラバスの青年とのドライブや、心を表現する生の音色と歌声、そこからの彼女の黄金色に輝いた妄想。伯母の死期を受け入れる準備に十分な時間と心の変化を感じていく。
人の心の変化はやはり人との出会いに限る。

いろんな人と出会い、話をし、そうして一晩にして彼女は準備をする。優しかった伯母、大好きだった伯母、いつだって目を閉じるとあの日々がよみがえり、赤い服と赤いバラに包まれた笑顔の彼女に会える。心地良い余韻を残しながら、彼女の小さな成長を感じさせる。思い出はきれいなままずっと生き続ける。

新年のご挨拶が遅くなりました。
みなさま今年もどうぞ宜しくお願いします。

2023年のスタートは『冒険者たち』『オー！』『追想』のロベール･アンリコ監督、ジョアンナ･シムカス主演の詩情溢れる青春映画。


はぁ、もう言葉が無い。シムカスが可愛い。美しい。大サービスのお胸が超綺麗。
もうそれだけで純度も満足度も100％の作品だった。

まだ大人になりきれていない若い女性が経験する、人の生と死の狭間に横たわる様々な出来事を一夜の物語として描き出す。
五月革命直後のパリの騒乱の気配を漂わせながら少女の魂のさすらいと大人の一歩を踏み出す様子をまるで見守るように…

羊のピラデスとの追っかけっこ。チェロ奏者の青年との出会い、ミニカーレース…
わちゃわちゃ、しんみり、郷愁さえ漂うけれど瑞々しくて美しい。

シムカスのファッションもヘアアレンジも素敵。地味めながら品のある雰囲気がやっぱり大好き。

陰影を効かせた夜の街やネオンや街灯と映像も素晴らしかった。室内の調度品の色彩にもワクワク。とりわけ叔母の真っ赤なブランケットは印象的でもあり、効いてた。
更にはチェロ弾きのシモンと裸で部屋を走り回るスローモンションシーンなんかはサイケデリック。

そして極めつけはシムカスのクローズアッブのラストカット。はぁ、息を飲む美しさ。
…からのラストシーンの余韻。
死をかくれんぼになぞらえるかのセンスも好き。


シムカスの若さと美を永遠に閉じ込めたファンには堪らない珠玉の逸品。(だと思う)

贔屓目いっぱいに素敵作品だった。

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