Omizu

不毛地帯のOmizuのレビュー・感想・評価

不毛地帯(1976年製作の映画)
4.0
【1976年キネマ旬報日本映画ベストテン 第4位】
山崎豊子の原作を、社会派映画の巨匠・山本薩夫監督が映画化した作品。当時まだ原作が連載中だったこともあり、前半のみの映画化となっている。キネ旬日本ベストテン第4位に選ばれたほか、毎日映画コンクールの大賞にも選ばれている。

おもしろかった!流石山本薩夫!社会派映画を撮らせたら本当に右に出る者はいないな。重厚な演出、強固なストーリーテリング、しっかり予算のかかったプロダクション、どれをとっても一級品。

仲代達矢演じる元軍人が欲にまみれていく姿を叙事詩的に描き出している。戦後日本の象徴とも言える主人公像だろう。戦争に負けた日本と、戦後経済発展を遂げる日本。両面を見事に描き出している。

「友人のため」と言いつつ汚い手を使うことを辞さない主人公。無欲の存在から欲にまみれた俗物へと成り下がっていく。

政府の腐敗、買収にも切り込み、元軍人の戦争責任にも。社会派監督としての腕が光る秀作社会派人間ドラマ。
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